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防錆紙とは

2021.4.27

防錆紙の構成とは

 (気化性)防錆紙は、「紙 + (気化性)防錆剤」が基本の製品構成です。
 (気化性)防錆紙を「油紙」と勘違いされている方もいますが、油紙は紙に油を塗布して防湿性を高めただけの紙で、(気化性)防錆剤は含まれていません。
 防湿性を高めた(気化性)防錆紙としては、国内外では片面にポリエチレン(PE)をラミネートしたものが一般的です。なお、海外メーカーでは、PEの代わりにワックス(蝋)を用いているところもあります。
 (気化性)防錆紙に使用する紙は、一般的に「中性紙」が使用されています。中性紙は、紙のpHを中性からアルカリ性に調整した紙です。通常の紙は酸性のため、金属を錆/腐食させやすいです。
 塗布する(気化性)防錆剤は、紙の繊維の間に入り込んだ「含浸タイプ」と、接着剤と混ぜて紙の表面に塗布した「塗工タイプ」の2種類です。一般的には含浸タイプが製造されていますが、気化性防錆剤としても用いられているDHICAN(ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩)は水に難溶のため、水に接着剤と共に混ぜた液を紙に塗布し、塗工タイプとして製造されています。
 鉄鋼の切り板やコイルなどの重量物に使用する場合は、 (気化性)防錆紙にフィルムをメッシュ状に編んだシート(クロスシート)を貼りあわせるなどの工夫を行い、紙の強度を高めたものが用いられます。また、シワ加工された(気化性)防錆紙のタイプもあります。シワ加工された紙は「クレープ紙」と呼ばれます。クレープ紙は「伸び」ますので、ゲートル巻き(包帯のように巻く方法)のような使用方法に適しています。

防錆紙の種類とは

 (気化性)防錆紙は、対象とする金属に応じて「鉄鋼用」「銅・銅合金用」「鉄・非鉄共用」に分けられます。
 金属によって性質が異なるように、防錆剤との相性も金属によって異なります。そのため、対象金属によって防錆剤を変更する必要があります。
 例えば、鉄鋼用防錆剤として一般的な「亜硝酸ナトリウム」は、金属表面に酸化皮膜を形成することで防錆します。しかし、この亜硝酸ナトリウムを銅・銅合金に使用した場合、銅・銅合金表面の酸化皮膜の厚みが増すために色合いが濃くなります。鉄の場合は、酸化皮膜が厚くなっても色合いがそれほど変わりません。この銅・銅合金の色合いの変化は、変色に類されます。
 「(気化性)防錆剤」と「紙の構成」から、使用に適した(気化性)防錆紙を選択する必要があります。
 例えば、コンテナに(気化性)防錆紙を敷く使用方法であれば、PEをラミネートしたタイプ(防湿タイプ)を使用する必要はありません。しかし、重量物の包装の場合、クロスシートが貼られていないタイプなど紙の強度がなければ、包装作業時や運搬時に破れてしまう危険性があります。

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