第1回/全17回 防錆油の種類とは?
ご存知かと思いますが、金属製品を錆から守る恒久的な手段としては塗装やめっきがあります。
しかし、一時的に金属製品を錆から守るときは塗装やめっきという手段は用いないでしょう。
このコラムで取り上げるのは、一時的に金属製品を錆から守るのための方法です。
一時的に金属製品を錆から守る手段としては、大きく分けて「防錆油」「防錆紙」「防錆フィルム」があります。まず、その中でも一番メジャーな防錆油についてお話したいと思います。
防錆油の種類とは
防錆油にはさらさらなものから硬い皮膜を作るものまで、いろいろなものがあります。どのような材料から作られているかというと、ベースとなる油(基油と言います)に造膜剤(油膜調整剤とも言われます)と防錆剤などが添加されたものといえます。次に、防錆油は大きく3つのタイプに分けることができて、
ひとつは潤滑油型、2つ目は溶剤希釈型、そして3つ目は半固体型です。
JISでは潤滑油型から気化性型を独立させ、溶剤希釈型から指紋除去型を独立させて5つに分けていますが、気化性型と指紋除去型という防錆油は機能的な分け方になります。
潤滑油型
潤滑油型防錆油は、潤滑油をベースに防錆剤を加えたもので、造膜剤は加えておりません。その理由は、潤滑油基油にはもともと造膜剤の働きが備わっているからなのです。一口に潤滑油基油といってもさまざまな粘度のものがありますから、どのように選択するかによって粘度の異なる商品ができます。
各社のカタログを拝見すると、潤滑油タイプが主流のようです。JISでは潤滑油型防錆油を8種類に細分していますが、実際に市販されているものはさらに種類が多く、多種多様といえます。
溶剤希釈型
一方、溶剤希釈型防錆油は造膜剤をどのように選択するかによって特徴のある性能をつくりだすことができ、溶剤が気化した後にできる皮膜が軟かいものから硬いものまで、さまざまな製品が数多く生み出されています。
JISでは6種類に細分していますが、このタイプもJISの規格に入らないものがたくさん市販されています。
半固体型
3つ目の半固体型防錆油はペトロラタムを基材としたもので、JISでは1種類だけとなっていす。
次回は、これらの防錆油はどのような品質なのか,JISに規定されている項目をもとにお話しましょう。